症例紹介

Case70 眼瞼縫合と点眼治療により治癒した穿孔性角膜の猫の1例

1か月前に保護した推定ヶ月齢の雄の日本猫くんです。

保護された時にはノミと耳ダニの寄生や目ヤニ、鼻汁等いわゆるネコ風邪の症状があり栄養状態も良好とは言えない状態でしたが、抗生剤やネコインターフェロン等の投与により風邪症状は殆ど改善していました。

目の症状としては、結膜と瞬膜の軽度の癒着が残っていたので、今回来院の1週間前に局所麻酔で癒着は剥離しコンディションは良好でしたが、前日より左目がおかしいとのことで来院されました。

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初診時

 

写真左は初診時の左目の状態です。
角膜の中心部が白くふやけた状態で一部膨隆して眼房水が漏れているのが確認されました。
角膜の保護と治癒促進を目的に点眼治療、感染予防のための抗生剤の内服に加え麻酔下で眼瞼縫合を行いました。

 

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第10病日

 

第10病日の写真です。
まだ角膜には強い混濁が残ってますが初診時に見られた膨隆は消失し前房は形成され眼球の構造は維持できているようです。
内眼角(目頭側)の糸が緩んでしまいましたが、開瞼の程度は縫合していない時の半分程度である程度機能していると考え追加の縫合は行いませんでした。

 

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1ヶ月後

 

左は抜糸2週間後、初診から1ヶ月後の所見です。
軽度の角膜角膜の混濁は残りましたが、穿孔創は綺麗に治癒し視力も失わずに済みました。

 

 

角膜潰瘍の原因は機械的、化学的、感染、全身性疾患、代謝性、神経性、免疫介在性に分類されます。
全身性疾患のうち猫ヘルペスウイルスはいわゆるネコ風邪のの原因の一つで、角膜炎等眼病変を起こすことが知られており今回の原因ではないかと考えられます。

調布市 つつじヶ丘動物病院

 

ありません。