症例紹介

Case46 膀胱結石のネコの1例

血尿と頻尿を主訴に来院した、2歳の雌のノルジアン•フォレスト•キャットです。

元気、食欲はあり尿検査では結晶成分は検出されなかったので膀胱炎と仮診断して内科的治療を行いましたが、間欠的な血尿があったため膀胱のエコー検査を行いました。

膀胱結石エコーs
膀胱のエコー検査所見

 

仰向けでエコー検査をした際に膀胱の背側にシャドーを引く白い物体のが確認され、膀胱結石と診断しました。

その後の数回尿検査を行ったところ、ストルバイト(リン酸塩)結晶が検出されたさたため、食事療法(Hill’s  s/d)を開始しました。

 

 

はじめは何とか食べていた処方食ですが、その後飽きてしまい次第に処方食単独では食べなくなり、また血尿と頻尿が続いていたのでご家族と相談した結果、手術で結石を摘出する事にしました。

オペ1s
手術所見1 膀胱切開し結石を摘出しているところ
オペ2s
手術所見2 膀胱縫合終了

手術は常法に従い体外に誘導した膀胱に支持糸を掛け、その間を切開し結石を摘出しました。

大きな一つの結石の場合は術式は比較的単純ですが、本症例の様に小さな複数の結石の存在がある場合は、骨盤尿道に外回りの担当スタッフに尿道に留置してあるカテーテルの位置を変えながらに生理食塩水でフラッシュしてもらう等、取り残しがない様に細心の注意が必要です。

結石s
摘出した結石

 

摘出した結石は成分解析中で、その結果に基づいて食事管理等の再発予防対策をします。

 

 

 

 

 

ワンちゃんの膀胱結石はリン酸マグネシウム•アンモニウム(ストルバイト)、シュウ酸カルシウム、尿酸塩、シスチン、ケイ酸塩の5種類があります。

このうちストルバイト、、尿酸塩、シスチン結石は内科的溶解の可能性があり、内科的治療か外科的摘出を選択することが出来ます。

外科的治療の欠点は麻酔の必要性、侵襲的、結石を除去できない可能性、根底にある原因の持続などが有りますが、一回の治療で効果が期待出来ます。

一方、内科的治療は長期間かかり効果が不確実(溶解しない事もある)です。

 

調布市 つつじヶ丘動物病院

 

 

ありません。