症例紹介

Case44 腸生検で診断した消化器型リンパ腫の猫の1例

元気、食欲不振と嘔吐を主訴に来院した推定16歳の雌ネコちゃんです。
来院時は脱水、嘔吐、水様下痢が認められ低体温(36.6℃)で危険な状態でした。

血液検査では白血球数が67,600/μlと著しく増加していた他、腎不全と肝障害が認められ敗血症性ショックが疑われたため、点滴、抗生剤、強心理尿薬のドパミンなどの投与を行いICU下で管理しました。

消化器型リンパ腫1s
腸管壁の肥厚
消化器型リンパ腫2s-1
腸管壁の短軸像と腫大したリンパ節

腹部超音波検査では腸管の筋層から漿膜にかけて肥厚が認められ、「竹輪麩」の様な状態で、腸管の運動性も著しくて以下していました。

敗血症の原因が腸管の腫瘍に起因しているとすれば出来るだけ早く診断し治療を開始する必要があるので、飼い主さんと相談の結果、上記の内科的治療で安定化を計った後、腸の生検を行う事になりました。

消化器型リンパ腫3s
体外に誘導した小腸
消化器型リンパ腫4s
くさび状に切除生検したところ

術前の超音波検査所見どおり腸管は肥厚して硬くなっていました。

消化器型リンパ腫5s
腸管を縫合し大網を掛けたところ
消化器型リンパ腫6s
病理組織所見

 

腸管壁は肥厚していますが弾力を失っているため、癒合不全による漏出の危険性が高いので縫合部は大網で被覆しました。

病理組織検査の結果リンパ腫と診断され、増殖細胞の多くは小型の成熟リンパ球であったことと推定16歳と高齢である事を考慮し、比較的副作用の少ないCOPプロトコールを選択しました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

調布市 つつじヶ丘動物病院

 

ありません。