数ヶ月前から排便時に痛そうに鳴くという症状で来院された11歳の雄のダックスくんです。
肛門付近が痛いためか検温も嫌がったため鎮静下での直腸検査検査を行った所、前立腺の肥大による直腸の圧迫が起こっている事がわかりました。
前立腺が肥大する病気はホルモンの影響によりおこる過形成(良性前立腺肥大)、細菌性前立腺炎および前立腺膿瘍、前立腺周囲嚢胞、前立腺腫瘍などがあります。
前立腺の超音波検査では肥大と液体貯留(cyst)が認められたため、抗生剤と※酢酸オサテロンの投与を行いまし経過観察としました。
※酢酸オサテロン:抗アンドロゲン作用を持つ犬の前立腺肥大治療薬
翌日、排便痛が更に強くなったとのことで来院されました。
前日には気付かなかった会陰ヘルニアが確認され、腸の造影検査で直腸憩室が確認されました。
会陰ヘルニアは骨盤隔膜(尾骨筋および肛門挙筋)が脆弱となり直腸や後腹膜腔脂肪、膀胱などが逸脱する病気で殆どが中年以上の雄で発生すると言われています。
肛門の左側の皮膚を切開しヘルニアを確認します。筋肉の裂け目から鉗子が骨盤腔に入ってしまいます。
写真左は逸脱した脂肪組織などを整復し、外肛門括約筋、肛門挙筋、尾骨筋、内閉鎖筋を縫合終了した所です。
このワンちゃんは去勢をしていなかったので同時に去勢手術も行いました。
術後は前述の前立腺の内科療法も併用したところ排便時の痛みも無くなり毎日スッキリです。
調布市 つつじヶ丘動物病院
ありません。