症例紹介

Case32 ネコの脾臓原発B細胞性低分化型リンパ腫の1例

食欲不振と下痢、嘔吐で来院した16歳の雌のネコちゃんです。

身体検査で脾臓の腫大が認められましたが、血液検査では食欲不振の原因になる様な異常は認められませんでした。

x-ray s
腹部レントゲン所見

 

腹部のレントゲン検査では脾臓の陰影が拡大している所見が得られました。

点滴と胃腸炎にたいする対症療法を行った所、食欲は少し出て来ましたが脾臓の腫大は改善しなかったため、エコーガイド下で脾臓の針吸引生検を行う事にしました。

 

 

Cytorogy s
脾臓細胞診所見

 

脾臓の針吸引生検で採取された細胞です。

血液成分を背景に多数の中〜大型のリンパ系細胞が採取され、腹腔内(脾臓)低分化型リンパ腫と診断されました。

同時におこなった(※)猫リンパ球クロナリティ検査ではB細胞のクロナリティが確認されました。

 

※クロナリティ検査(解析):PCR法という手法を用いて検査材料が均一な遺伝子を持った細胞集団で構成されているか、すなわち、リンパ系腫瘍であるか否かを判定する検査。

猫の腹腔内リンパ腫は難治性を示すタイプが多いですが、化学療法に感受性が期待できます。

飼い主さんと相談の結果、Lーアスパラギナーゼで症状の安定化を計ったのちUW25という多剤併用のプロトコールで治療することになりました。

Echo pre s
治療前の脾臓エコー所見
Echo post s
治療後の脾臓エコー所見

Lーアスパラギナーゼ投与4日後には食欲が出て来て腫大していた脾臓(写真左上)も治療とともに正常範囲内まで縮小(写真右上)し、通院治療中です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

調布市 つつじヶ丘動物病院

ありません。