当院ではスーパーライザーHyper5000による光温熱療法を行っています。
光温熱療法の適応の第一は疼痛緩和と創傷治癒で、第二の適応はがんの治療です。
Ⅰ:スーパーライザーによる炎症・疼痛管理、創傷治癒促進
可視光線から近赤外波長領域の低出力レーザー(Low Level Laser:LLL)は神経•細胞に作用し、疼痛緩和、と創傷治癒を促進する事から、ヒト医療において幅広く取り入られています。
LLLと同様な目的で使用されている直線偏光近赤外線(Linear polarized near-infrared :NIR)に関しても、光線作用とその輻射熱の両作用によって、組織血流の改善、神経興奮性の抑制、筋弛緩および創傷治癒の促進や疼痛緩和作用など、LLLとほぼ同様の効果が認められています。
スーパーライザーの作用には
1)血管拡張 血流改善 血管新生促進
2)制菌作用
3)免疫賦活作用
4)温熱作用・創傷治癒促進・抗炎症
5)鎮痛消炎作用、神経ブロック、疼痛緩解
6)細胞増殖、細胞遊走活性亢進作用
7)エネルギー刺激作用
などがあり、吸収されるエネルギーをコントロールする事により慢性疼痛管理や創傷の治癒促進が期待出来ます。
■スーパーライザーの適応症例
●口内炎、歯肉炎、口角炎、舌炎
●創傷、打撲、褥瘡、皮膚炎、皮膚潰瘍
●骨折、捻挫、関節炎、腱炎、筋炎、神経痛
●外耳道炎、中耳炎、鼻炎、喉頭炎、肺炎
●手術後(治癒促進、疼痛緩和)
Ⅱ:光温熱療法によるがんの治療
ワンちゃんやネコちゃんンの死亡原因は人間と同様にがんが第一位というデータがあります。ガンの三大治療方法は外科手術、化学療法、放射線治療ですが副作用の問題や高齢で麻酔のリスク高いなど、全ての動物で適用出来る訳ではありません。
副作用の強い抗がん剤や放射線、体への負担が大きい手術が出来ない動物たちの第4の治療としてつつじヶ丘動物病院では光温熱療法(Photodynamic Heperthermia Thrapy=PHT) を行っています。
光温熱療法はがん細胞の生存温度の上限(42℃程度)と正常細胞の上限(45℃)の差を利用し,熱に弱いがん細胞のみを死滅させる治療法です。
また最近、実験動物のレベルですが、温度の上昇でがん細胞が傷つくことにより樹上細胞に認識され免疫が誘導され二次的にがん細胞が死滅するというメカニズムも分かりました。
PHTは光を吸収しやすいインドシアニングリー(ICG)等の薬剤を静脈注射あるいは点滴し、光の中で最も生体深達性の高い波長帯の近赤外線(600nm〜1600nm)を体の外から照射する治療で副作用もほとんどありません。
基本的に麻酔は不要で治療中は程よい温熱感で苦痛を伴わない動物に優しい治療法で他の治療法との併用も可能です。
治療方法の詳細は病院にお問い合わせ下さい。
PHTに使用するスーパーライザーHyper5000
光の中で最も生体深達性の高い波長帯の近赤外線(600nm〜1600nm)を5,000mWの高出力でスポット状に照射することを可能にした光線治療器です。