一般外科とは、おもに腹部・消化器を中心に、外傷、体表の化膿性疾患、乳腺、肛門などの疾患を対象とした外科学の一つで、獣医領域では去勢や避妊手術も含まれます。
胃拡張・胃捻転症候群、腸閉塞、子宮蓄膿症などの救急疾患や結石性疾患(膀胱結石など)、腹壁ヘルニア(臍ヘルニア、会陰ヘルニアなど)、感染・壊死組織の除去(デブリードメント)、
腫瘍性疾患など、内科では治療困難な疾患に対し行われます。
外科治療を実施する際には、外科が適応な疾患かどうか、また多くが麻酔を伴うのでそのメリット・デメリットは、外科で治癒できる可能性はどの程度か、など、様々な要因を考慮した上で判断していきます。
STEP 1 : 外科適応かの判断
外科とは治療法の一つに過ぎません。まず、今抱えている問題が外科適応なのか、内科でも対処可能なのかを判断します。
もちろん一概に分けられないケースも多々あります。
その場合には内科と外科のどちらがより治療効果が高いか、どちらがよりリスクが少ないかなどを病状や動物の状態などを考慮し選択します。
また、腫瘍性疾患、とくに悪性腫瘍ではすでに他臓器に転移しているなど外科での根治が困難なケースもあります。その際には、根治ではなく緩和目的で外科を実施する場合もあります。
何れにしても外科という治療法をどう使うかしっかり吟味する必要があります。
STEP 2 : 全身状態の把握、麻酔のリスク回避
外科を行う際、ほとんどの場合で必要となるのが麻酔です。とくに獣医療では全身麻酔が必要なことが多く、実施には必ずリスクを伴います。
そのリスクを可能な限り回避する為に、全身麻酔を行う前には必ず検査を実施し、健康状態や病状の把握に努めます。
STEP 3 : 手術実施
安全で迅速な外科手術ができる様、通常の手術では麻酔担当、執刀医、助手の3人以上の獣医師がチームを組んで対応しています。
動物たちの苦痛の軽減と素早い回復のため、手術に際して積極的に疼痛管理=痛みのコントロール=を行い、避妊・去勢手術は「極力小さい切開」を実施しています。
また、心電図や血圧、血液中の酸素および麻酔ガス濃度など同時に6項目をモニターできる生体監視装置やアルゴンプラズマ凝固装置付高周波メス、血管シーリングシステムなどの導入により安全で確実かつスピーディーな手術が可能です。
STEP 4 : 術後管理
外科手術を受けた動物たちが速やかに回復に向かうにはしっかりとした栄養管理と疼痛管理が必要です。手術の内容や動物の状態によっては、術後に療法食や栄養チューブによる栄養管理、また複数の鎮痛薬を用いて痛みの程度に合わせた疼痛コントロールを実施しています。
手術を受ける動物たちがより安全に、そして元気で健やかな生活を送れるような外科治療を提供していきたいと考えています。