症例紹介

Case11 犬の皮膚肥満細胞腫グレード2

後ろ足の皮膚のできものに今日気付いたとの事で来院された11歳 雌のワンちゃんです。
皮膚腫瘤以外は元気、食欲もあるという事ででした。

 

ワンちゃんの皮膚には細菌性皮膚炎(膿皮症)をはじめ色々な異常が起こります。また良性悪性含め色々な腫瘍が発生し、部位別に見ると皮膚および皮下は最も発生頻度が高い事が知られています。

 

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皮膚腫瘤

左大腿部の後面に直径2センチの腫瘤が認められました。

腫瘤は柔らかく、痛みはありませんでした。

肉眼的は腫瘍が強く疑われましたので、細い注射針で細胞を吸引(針吸引生検)し、細胞診を行いました。

 

 

 

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細胞診1
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細胞診 強拡大

 

多数の独立円形細胞が採取されました。多くの細胞の細胞質には顆粒が認められませんが一部に細胞質に紫色の細かい顆粒をもった細胞が認められ、肥満細胞腫と診断しました。

 

血液検査、レントゲン検査やエコー検査で異常が認められなかったので手術適応と判断しましたが、個々の細胞の大きさや顆粒の量のばらつきなどの多形性が認められ、グレード(組織学的悪性度)が高い事が予想されました。

 

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手術所見1
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手術所見2

 

 

肥満細胞腫は皮膚の悪性腫瘍なので広範な切除が推奨されています。この症例でも水平方向のマージン2センチと深部方向は筋膜1枚を腫瘍と共に切除しました。

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手術所見3

 

マージン部分も含め中央部分は皮膚の欠損が大きく縫合部に強いテンションがかかったため、メッシュ(皮膚に多数の小切開を加え皮膚にかかるテンションを減張する手技)を行い縫合終了しました。

 

 

 

 

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病理組織所見

病理組織検査の結果、マージン部に腫瘍細胞は認められず摘出状態は良好とのコメントでしたが、肥満細胞腫 グレード2の中でも3に近い(悪性度が高い)との診断結果でしたので、補助的化学療法を検討中です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

調布市 つつじヶ丘動物病院

ありません。