症例紹介

Case9 二度呼吸停止した僧帽弁閉鎖不全症による急性肺水腫の犬

「呼吸が苦しそうで血を吐いている」と言う事で昼の診察時間外に救急で来院されたたワンちゃんです。

酸素吸入をしながら診察を開始しましたがすぐに呼吸停止したため、気管挿管し人工呼吸をしながらの救急処置となりました。

聴診ではかなり強い心雑音が認められ、胸部のレントゲン検査では肺が白くなり心臓や横隔膜の輪郭が不鮮明になっており、心不全による肺水腫が強く疑われました。

MR-PE1s
胸部レントゲンDV像

 

MR-PE2s
胸部レントゲンLat像

 

 

 

 

 

 

 

 

 

酸素濃度を上げたICUで利尿薬の静脈内投与、ドブタミン(強心薬)、ニトロプルシド(血管拡張薬)の持続点滴を行いました。

DSCN1359s
持続点滴の様子

 

シリンジポンプという薬剤を一定量で注入できる機器を使い点滴している様子です。

この治療中も肺に溜まったピンク色の液体を喀出し再度呼吸停止したため、気管挿管し人工呼吸を再開しました。

 

 

 

 

様態が落ち着いた所で心エコー検査を行いました。左心房(LA)の拡大とカラードップラーで左心室から左心房への血液の逆流が確認され、僧帽弁閉鎖不全症による肺水腫と診断しました。

四腔s
右側四腔断面像
MRカラーs
カラードップラー像 僧帽弁逆流

 

TRカラーs
カラードップラー 三尖弁逆流

 

更にこのワンちゃんは右の心房と心室を隔てている三尖弁にも閉鎖不全がある事が判明しました。

 

 

 

 

 

翌日には呼吸が楽になり、レントゲン検査でも肺の白いもやもやが消え、肺水腫の改善が認められました。

MR-PE3s
翌日のレントゲンDV像
MR-PE4s
翌日のレントゲンLat像

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その後順調に回復し5日目に無事退院する事が出来ました。

 

 

 

 

 

 

 

 

調布市 つつじヶ丘動物病院

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ありません。