症例紹介

Case27 抗がん剤(ビンブラスチン)が奏功した肥満細胞腫の犬の1例

半年まえから右下顎皮膚にシコリができてかかりつけの病院で肥満細胞腫と診断されていた13歳のワンちゃんです。

手術を勧められていましたが決断出来ず、ステロイドの内服していましたが2〜3日前から急速に増大してきたという事で来院しました。

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初診時

 

左は初診時の写真で、下顎の皮膚は広い範囲でしこっており中央部は自壊しています。

腫瘍そのものがおおきくなっているか、肥満細胞腫特有のダリエ兆候なのか判定出来ません。

 

 

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顕微鏡写真

 

針を刺してみると紫色の顆粒を持った肥満細胞が採取されました。

犬の皮膚肥満細胞腫の治療の第一選択は十分なマージンをとった外科切除ですが、病変と健康な部分の境界が不明瞭な事に加え感染を伴っているため、まず抗がん剤と抗生剤の投与を行いました。

 

 

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治療後

 

ビンブラスチンという抗がん剤とステロイドによる治療を開始したところ、1週間後には顔面の腫れも引き、自壊した部分は約2週間で塞がりました。

今後、手術するかどうかご家族と相談中です。

 

 

犬の皮膚肥満細胞腫は皮膚の悪性腫瘍の一つで、多くの場合診断は麻酔をかけないで出来る針吸引生検で診断がつきます。

この腫瘍は悪性から比較的良性のものまで幅広く、予後は切除した組織学的グレードにより様々です

Patnaik分類のグレードⅠの1500日生存率は83%で外科単独で治癒する事もありますが、グレートⅢでは6%というデータがあります。

治療の第一選択は2センチのマージンを確保した外科切除で、化学療法や放射線療法を併用する事もあります。

 

調布市 つつじヶ丘動物病院

 

 

 

ありません。