症例紹介

Case65 治療により脱毛が改善したクッシング症候群の犬の1例

1年以上前から徐々に毛が薄くなって来て、最近トリマーさんに「クッシングではないか」言われたとの事で来院した12歳、体重7.5kgの雄のトイプードル君です。かかりつけの病院で処方された甲状腺ホルモン剤を内服治療中との事です。

20141212PDH1
初診時左側外貌
20141212PDH2
初診時右側外貌
20141212PDH3
初診時外貌尾側

 

左右対称の脱毛、被毛粗強および皮膚の菲薄化が認められました。

クッシング症候群(副腎皮質機能亢進症)の場合、特徴的な症状の一つとして、多飲多尿がありますが、ご自宅での飲水量は300ml程度と体重7.5kgから換算して正常範囲内と考えられました。

一方、参考のためご持参頂いた、数ヶ月前に皮膚科専門の病院を受診した際の血液検査の結果のコルチゾール値はPre8.5μl/dl , Post30.3μl/dl でした。(Postの値が20〜25μl/dlであればグレーゾーン、25μl/dl以上でクッシング症候群と診断)

 

 

 

副腎超音波

 

腹部超音波検査で左副腎のサイズは頭側6.5mm 尾側6.4mm 右副腎8.0mmとすべて基準値の6mmを超えており、下垂体性の副腎皮質亢進症(クッシング症候群)と考えて矛盾はありません。

 

 

 

 

当初、脱毛以外に気になる症状がなかった事からご家族の希望で無治療で経過観察していましたが、次第に飲水量が増えて来た事や脱毛の進行や膀胱炎の併発および血液検査で肝酵素および高脂血症などの異常が認められたため、初診時より約半年後から治療開始しました。

コルチゾール値

左グラフは治療開始後のACTH刺激試験の推移で、Pre, Postともコルチゾール値は下がり直近の検査ではPre3.3μl/dl , Post9.0μl/dlとほぼ良好にコントロール出来ています。

 

 

 

脱毛していた部分の完全に被毛が再生し、毛の色も治療前に比べると黒々して若返った印象で飼い主様には大変喜んで頂きました。

20150712PDH5
現在の右側外貌
20150712PDH4
現在の左側外貌

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

調布市 つつじヶ丘動物病院

 

ありません。