症例紹介

Case61 多発性関節炎の犬の1例

7歳の雄のミニチュア•ダッックス君が1週間前からの間欠的な跛行で来院しました。
特定の場所を痛がるわけではないが今日は殆ど動かないとの事でした。

多発性関節炎1
レントゲン所見1

 

身体検査では体温が39.5℃で発熱が認められましたが触診では痛みの部位の特定はできませんでした。

股関節や膝のレントゲン検では骨や関節に異常は認められませんでした。

血液検査では炎症の有無を調べるCRPの値が6.2mg/dlと上昇していましたが、調べた範囲では他の検査結果は正常範囲内でした。

 

 

 

多発性関節炎3
レントゲン所見2
多発性関節炎2
レントゲン所見3

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

発熱とCRPの上昇から感染や炎症が疑われたため、抗生剤の投与を行いましたが4日後の再診時には諸症状は更に悪化し、後肢が立てなくなり診察台の上で横臥で寝せるとそのまま動かない状態でした。

臨床症状と検査所見から多発性関節炎を疑い関節液の検査を実施しました。

多発性関節炎4JPG
関節穿刺
多発性関節炎5
関節液

右の膝関節を穿刺したところ、混濁した粘稠性の低い関節液が採取されました。
関節液の検査では有核細胞数が26,100/μlと増加しており好中球とマクロファージが大半をしめておりました。

関節炎以外の症状が認められない事から多発性関節炎と診断し、免疫抑制量のステロイドの投与を開始したところ、1週間後の再診時には症状は全快し、その後CRP値も正常になった事が確認されました。

現在はステロイドを漸減し、サプリメントの免疫ミルク(Pet IgG)を併用しステロイドから離脱出来るかどうか模索中です。

 

調布市 つつじヶ丘動物病院

ありません。