症例紹介

Case57 形質細胞性趾蹠皮膚炎の猫の1例

2歳半の避妊雌の猫ちゃんがパットから出血し何となく元気がないとの事で来院されました。
完全室内飼育で家の中に怪我をする様なものも思い当たらないとの事でした。

第0病日前肢
Fig1 初診時の前肢パット
第0病日後肢
Fig2 初診時の後肢パット

 

 

前後肢ともパットの腫れが認められ、後肢はより重症で内出血と裂開も認められました。
局所を洗浄し裂開した部分は乾燥しない様保護しました。

第1病日後肢
Fig3 第一病日の左後肢
第1病日後肢縫合後
Fig4 左後肢〜縫合後

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

翌日、左後肢の裂開部分が広がり肉球内部が露出していたため、病理組織検査用に一部生検し縫合しました。
麻酔前の血液検査では軽度の高グロブリン血症が認められました。
臨床症状から形質細胞性趾蹠皮膚炎が疑われたため、病理診断が出るまでこの疾患に有効であるドキシサイクリンの投与を行いました。

第4病日前肢
Fig5 第四病日の前肢パット
第4病日後肢
Fig6 第四病日の後肢パット

Fig5 ,6は第四病日の様子です。若干の腫れの軽減が認められ、縫合部は良好です。

後日病理検査の結果、形質細胞性趾蹠皮膚炎と診断されステロイドの内服を開始した所、パットの腫脹は次第に改善し現在も治療継続中です。

形質細胞性趾蹠皮膚炎(猫形質細胞性足端炎)の原因は不明ですが免疫原性疾患と考えらています。

種、年齢、性別のよる好発性は無く猫ちゃんに最もみられワンちゃんでの発生は稀と言われています。

初期症状はパットが柔らかく無痛の腫脹で、通常複数の足の複数のパットに発生します。

治療はコルチコステロイド、金療法、ドキシサイクリンなどで単発性の病変は外科的切除が推奨されています。

時々パットも見てあげて下さい。

 

ありません。