症例紹介

Case42 膀胱結石の犬の1例

血尿と頻尿を主訴に来院した8歳の雄のワンちゃんです。
4ヶ月前にも同様の症状がありましたが抗生剤の投与で改善しました。

今回も同様の治療を試みましたが間欠的に血尿が続き、再発ということもありレントゲンと超音波検査を実施しました。

レントゲンs2
レントゲン所見
エコーs
エコー所見

 

レントゲン検査では膀胱領域に数ミリの結石を認め、超音波検査でも複数の結石が確認されましたが膀胱粘膜には大きな異常はありませんでした。

これまでの尿検査ではストラバイト(リン酸塩)とシュウ酸の結晶が確認されていました。
結石の成分が純粋なリン酸塩であれば食事療法で溶解する可能性がありますが、シュウ酸であれば内科療法での改善は望めない事や長期間かかる事、手術は麻酔のリスクはありますが確実である事などそれぞれの長所、短所を説明したところご家族は手術を希望されました。

膀胱結石1s
結石摘出
膀胱結石2s
膀胱縫合終了

手術はまず腹部の切開創から膀胱を体外に誘導します。膀胱に支持糸を掛け膀胱を切開しそこから結石を取り出します。

結石が小さい場合、膀胱〜尿道移行部に残っている事があるので、尿道に留置したカテーテルをフラッシュして取り残しが無い様にします。膀胱はPDSという吸収糸で縫合します。

膀胱結石3s
摘出した結石

 

左は摘出した結石で現在成分分析中です。

膀胱結石は尿中の結晶が凝集して形成されます。尿石は尿路上皮を障害し,血尿、頻尿、排尿障害、有痛性排尿困難などを引き起こします。

 

 

結石の種類はストルバイト、シュウ酸カルシウム、尿酸塩、ケイ酸塩、シスチンなどがあり、ストルバイト結石、尿酸塩結石、シスチン結石は内科的溶解が可能なことがあります。

内科的治療、外科的治療いずれかの治療を選択して結石を除去、溶解に成功した後は成分分析の結果に基づいて食事療法などの予防が必須です。

 

 

 

 

 

 

 

 

調布市 つつじヶ丘動物病院

ありません。